ピアッシング後の消毒について

ピアス穴あけご案内

ピアスの穴開けをしたあとの消毒はどうすればいいのか。 お悩みの方多いと思います。
何故多いのか? 今はネットで調べることが当たり前となりすぐに答えがみつかるかと思いきや、逆に色々な違う意見が多すぎていったいどうすればいいのか患者さんが迷子状態です。

結論から言うと 何もしないほうがいい  です。 

もちろん清潔に保つための努力はして下さい。ここでいう何もしないとは、たとえ当日であっても水(シャワーなど)できれいに洗い流して、軽く拭き、あとは特になにもしない ということです。

消毒しないのは何故?

消毒するという行為をおすすめしないのは、それをすることによって結果としてピアスホールの安定を遅らせ、かつ、場合によっては消毒する事によって逆に感染症を引き起こすこともあるからです。

ピアスホールの安定がおくれる

ピアスホールとは要は単なる傷です。刺し傷の断面です。この傷面が自分の体の免疫力によって修復され、膜が出来て最終的には痂皮化すれば安定したと表現されます。
消毒液を使うとこの免疫細胞による活動を妨害されてしまうのです。

消毒液によって悪い菌もある程度抑えることは出来ますが、同時に活躍してもらわなければならない免疫細胞までもある程度抑えられてしまうのです。先程書いたとおり免疫系の活動によってピアスホールは完成するのですから消毒液を使っているとその活動が邪魔されますので当然完成は遅れる ということになります。 大工さん10人で治している人と、邪魔をされて5人くらいで作業をしている人では当然完成時期は大きく差が出ます。

感染症の原因にも・・・

良かれと思ってやっていた消毒によって、結果的に感染症を引き起こす人もいます。そうなるとまったくもって本末転倒です。
これも消毒剤によって免疫系が無駄にダメージを受けることにもよりますが、そもそも私達の皮膚にはたくさんの細菌がうじゃうじゃいます。これら皮膚表面に住み着いている最近たちを皮膚常在菌といいます。まあ、そのままの名前です。

消毒薬はこの皮膚常在菌もある程度殺菌してしまいます。

皮膚に勝手に住んでいる菌をやっつけるのだから良いことではと思ってしまいますが、そうではありません。

私達の体に住み着いている皮膚常在菌は勝手に住みつかせてもらっている代わりに、見慣れない菌が自分たちの住処に入ってこないよう、見張り、守ってくれている存在でもあるのです。

このガードマン(皮膚常在菌)を減らしてしまうと当然そこ(ピアスホール)は外部から入り込みやすい場所になってしまい結果として別の菌の増殖による感染症を引き起こしてしまうということがあるのです。

病院で消毒をしてくださいといわれたけど・・・・

はい。この問題めっちゃあります。残念ながら・・・。

実はピアスホールだけの問題ではなく、傷口に対してどのように処置していくかの医学的常識がここ数十年で大きく変わってきたのです。

免疫系の仕組みはいまだ完全にはわかりませんが、何十年も前に比べれば大きく進歩し色々なことがわかってきました。そのようなことがあって(それだけではありませんが)、昔は消毒して、乾かしてガーゼを当てて・・・などとしていた事が、現在では、

乾かさずになるべくあるがままで

治すという形に変わってきました。傷はあくまでも自身の免疫で治す、治るのです。これを医学的には湿潤療法といいます。

よって免疫系の邪魔をする消毒剤など不要であるという事になったわけです。

消毒が必要なのは傷が出来たあとではなく、その傷を作る時、ピアスならばあける時にしっかりと消毒することが必要です。

では何故、医療機関で消毒を推奨するということがおこるのか? 実は傷を治す仕組みが湿潤療法にかわってきていると言いましたが、まだまだ以前の考えのままの先生方もおられます。

私自身は湿潤療法のほうが理にかなっているのでそちらを採用しています。その違いか、あるいは昔はそうしていたので何となくその説明がネット上に残っているのか・・・

まあ、どちらにしろ私は消毒すべきという意見には賛同出来ません。

それでもときには・・・

ピアス後に消毒剤を使用していると、

  • 自分で治す力(免疫系)を邪魔する
  • その部位の皮膚常在菌を減らして無防備にしてしまう
  • 消毒剤をつける行為そのものが傷口に対して無駄に刺激を与える行為

といった理由で全くおすすめしません。
消毒剤などを使うことは傷口にたいして良いことはほとんどないのです。これはピアスに限らずですので是非覚えておいたください。

それでも時には感染症をおこして腫れたり膿が出たり、場合によってはピアスホールの完成を待たずに外して治療しなければならないようなことも起こります。

この原因菌は多くの場合皮膚常在菌です。

それじゃあやっぱり消毒してこいつらを減らしたほうがいいじゃないかと 思う方もいると思いますがそうではありません。

基本的には助けてくれている彼らですが、こちらが弱みを見せると手のひらを返して攻撃してくることがあります。弱みとは、

清潔でない状態 や 疲労や病気などで免疫が弱まった状態 などです。

そうならないために、シャワーの時などに軽くすすぎ、刺激を与えないよう軽く拭き取り、それ以外は必要なく触らないようにしておけば大丈夫です。

それでも感染症を起こした場合にはそのときに 消毒ではなく抗菌薬、抗生剤などを使用します。(抗生剤の乱用も体にはよくありません。可能な限り自前の免疫で治したい所です)

結論

  • ピアスホールを開けたあとの消毒は必要ない
  • 常に清潔に保つ事が大事。ただし、洗いすぎも刺激になるので基本ほっとく
  • 消毒剤は必要ないが状況により時には抗生剤やステロイド剤などの使用はありえる。
  • ピアスホールは傷 傷の治し方が昔と今でだいぶ変わった
タイトルとURLをコピーしました