【医師解説】ピアスの消毒と滅菌

消毒と滅菌の違い ピアス穴あけご案内

最近はコロナもあって消毒に関してだいぶ神経質になっていますが、医療現場においてはコロナに始まったわけではなく昔から消毒滅菌といった行為を日常的に行っています。 聞き慣れない言葉だと思いますが滅菌は「めっきん」と読み、医療機関では必須の大事な作業です。
消毒と滅菌、この違いを是非知ってください。

消毒とは

消毒とは、微生物の数を減らして(減らす=0になるわけではない。)、感染症を起こさない程度にまで病原性微生物を減少させることです。
消毒方法はたくさんありますが、一般的にはアルコール消毒、煮沸消毒(80℃ 10分)が有名でしょう。 今ではアルコール消毒は日常生活でもみんな頻繁に行っています。医療機関では大体消毒薬といえばアルコール、ステリクロン液(保健室などで使っているピンク色の液体)、ポピドンヨードの3種類を使います。

消毒とは

病原菌を「ある程度」まで減らす作業で、0になるわけではない。
一般的にはアルコール消毒。その場合アルコール濃度70%以上必要
消毒薬は全て「医薬品」または「医薬部外品」

滅菌とは

滅菌という言葉は医療関係以外ではあまり使わない言葉だと思いますが、特殊な機器を使用してほぼ全ての微生物を死滅させることでいうならば最も清潔な状態を作り出します。

注射器や注射針が1つづつ包装されているものを見たことはあるでしょうか? 

それらの注射針や注射器(シリンジ)はそのパッケージごと滅菌装置にかけて、内部が滅菌状態となっているものを医療機関がメーカーから購入して使用しています。もちろん1回使い捨てです。

1個づつ個包装された注射針 放射線(ガンマ線)滅菌されている

殺菌、除菌、制菌、静菌、抗菌など最近は世の中に似たような言葉が溢れていますが、

「殺菌」「消毒」「滅菌」という言葉に関しては薬事法上の定めがありますが、

それ以外の言葉はマーケティング的な言葉でそれぞれ定義はあるようですが、私はあまりあてにしていませんし、この記事とは関係ないので説明は割愛します。

そういう世の中で行われる微生物への対抗の究極とも言えるのが滅菌」です。滅菌済みのものはあらゆる細菌・ウイルスがほぼ皆無という状態になっています。(ほぼ0 厳密には百万分の1以下)

滅菌とは

ほぼ全ての微生物を死滅させる
特殊な機器が必要となるため病医院や工場などでおこなわれる
滅菌済み物は薬事法で定められた最も安全な状態


滅菌を行うためには特殊な器具が必要となるため一般家庭で行うことはほぼ不可能です。ほぼ全ての微生物を殺滅する滅菌方法にも何種類かやり方がありますが、一般の医療機関で行っている代表的なものは、
「高圧蒸気滅菌:オートクレーブ」
「酸化エチレンガス滅菌:EOG滅菌」
「乾熱滅菌」

上記3つ。注射針などを製造する大手メーカーは主に「放射線による滅菌」を行っています。通常のクリニックでは大体オートクレーブかEOGあるいはその両方の機器を揃えて手術道具などを日々滅菌します。
心斎橋Nクリニックでは主にEOG滅菌器にて滅菌しています

このような滅菌バッグと呼ばれる袋に洗浄・乾燥後の対象物をいれてパッキンし、滅菌器にかける。
この状態で滅菌器にかけることにより使用するまでそのまま滅菌状態をキープできるので使用するときまでそのまま保管し、使用時に開封して使用する。

医療機関向けにこのような滅菌バッグが様々なサイズで販売されており、基本的に「オートクレーブ」、「EOG滅菌器」両対応のものが販売されている。

ピアスと消毒・滅菌

ピアスを開けるという行為は、

針または針のようなもの(ピアッサーのスタッド)を使用して人工的に貫通創を作り、そこに異物(ピアス)を長期間留め置く

という文面で見るとなかなか特殊な行為です。

最も注意が必要となる部分は「針もしくは針のようなもの」の部分で、ピアスを開ける時に必要となる針(ニードル)は当然滅菌済のものを1回使い捨てで使用します。

 それではピアスそのものはどうでしょう。ピアスは人工的に作った傷(ピアスホール)の中に通すものなので、ピアスホールが完成して痂皮化するまでファーストピアスは常に傷口に触れ続けています。ファーストピアスは耳たぶで約1ヶ月半、耳軟骨なら約3ヶ月、その他ボディピアスに関しては半年程度付けっぱなしになります。

ピアスガンやピアッサーの場合

ピアスガンで使用するピアスは医療機器(JPS社製)ですので全て滅菌済のピアスがパックされたものを使用時に開封して使用するので最も安全・清潔なものといえます。 たまにお持込いただくピアッサーも管理医療機器で滅菌済みのものとなっていますが、なかには医療機器ではない雑貨のようなものもあるようで、そうなると滅菌されているのかどうかは残念ながらわかりません。 ピアッサーをお持込の場合は医療機関向け製品を取り扱っているJPS社製のものか、裏面などを見て管理医療機器と書いてあるものをお選びください。 

ピアスガンで使用するピアス(スタッド)は滅菌されている。ピアッサーも滅菌済み状態で包装。

ピアスガンやピアッサー以外

一方、ボディピアスとしてよく用いられているストレートバーベルやバナナバーベル、ラブレット型などのピアスはどうでしょうか。これらのニードルを用いて施術するピアスはピアス屋さんで普通の袋にはいった状態で値段も大体100〜200円程度で売られています。お持込の方も多いです。

この持ち込みピアスは当然滅菌はおろか何もしていない状態のものです。

この段階では完全に不潔な状態のものなので、一旦こちらで預かり、洗浄・乾燥・殺菌・消毒の一連の作業を行います。ただし、時間的制約もあり十分なものとは考えていません。

先程書いたように消毒、つまりある程度の病原性微生物を除去しただけという状態で、本来ならこの後に行う工程が「滅菌」なのですが、これには大体4時間半〜6時間ほどかかるため持込物に対しては行うことが出来ません。

check

滅菌するには特殊な機器を使って4時間半〜6時間かかる。

ボディピアスに対応している医療機関はあまり多くはなく、対応している場合でもボディピアスに関しては持込のみを指定しているクリニックが多く、どのクリニックでも概ねこのような対応になっていると思います。
実はボディピアスに使用するストレートバーベルやバナナバーベルには医療用などは存在せず雑貨品しかないので、クリニックで用意するにも、一般の方同様ピアス屋さんなどで買わなくては手にはいらないため、「持込のみ」としているクリニックも多いのだと思います。

check

ストレートバーベルやラブレットなどのピアスに医療機器は無い

心斎橋Nクリニックはほぼピアス施術専門に近いので比較的多くの種類のボディピアスを揃えています。また、全てのピアスに関して先程の洗浄・乾燥・殺菌・消毒に加えてEOガスによる「滅菌」を行っていますので最も安全な状態のピアスです。

どの部位でもファーストピアスは長い期間付けっぱなしになるので自分の気に入ったものを使いたい! という気持ちもわかります。
持込対応(消毒しか出来ない)もしていますが、持込ピアスと心斎橋Nクリニック提供ピアスとでは安心レベルで大きな違いがあります。

今現在(2021年8月)、ストレートバーベル、バナナバーベル、ラブレット型ともに8mm、10mm、12mm それぞれ16Gと14Gのものを揃えており、さらにストレートバーベルは舌ピアスとインダストリアルに対応するため、14mm 18mm 38mm 40mm(この4種類は16Gのみ)の長さも在庫しています。もちろん全て滅菌済みの状態です。

  ストレートバーベル バナナバーベル ラブレット型
8mm
10mm
12mm
14mm    
18mm    
38mm    
40mm    

おへそピアスもサージカルステン、純チタンとも3〜4種類づつ滅菌済みにてご用意しています。是非ご利用ください。

タイトルとURLをコピーしました