AGA治療薬について

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世界初のAGA薬登場

今から約30年ほど前にフィナステリドという薬が開発されました。フィナステリドは元々前立腺肥大に対する薬として研究・開発され、本来の効能(本作用)は、前立腺肥大もしくは前立腺癌に対する薬でしたが、その副作用として脱毛抑制効果毛髪成長効果が報告され、研究・臨床実験を経て、たしかにその効果が確認されたので、1997年に世界初の男性型脱毛症(いわゆるAGA)の治療薬として承認されました。(米国FDA)

本来の抗前立腺肥大症治療薬としては当然AGA薬としての承認より早く1992年に承認されており、その際はProscar(プロスカー)という商品名で販売されていました。 ごく最近もしくは現在でも並行輸入仲介業者のホームページなどでプロスカーもしくはプロスカーのジェネリックといった薬を見かけることがあります。

このプロスカー(有効成分名:フィナステリド)が1997年に男性型脱毛症に対する治療薬として承認された際に販売された時の名前が有名なプロペシア(メルク:現在は子宮頸癌ワクチンなどが有名)です。

つまり、

  プロスカー = プロペシア = フィナステリド

   です。

AGAに対する治療薬としては1997年に承認されたのですが、そのちょっと前からすでにこれがハゲ(失礼)に効くらしいという事でプロスカーを並行輸入などで購入したり、薬ありますという怪しげな広告が携帯番号とともに電信柱に貼られていたりという時代もありました。バイアグラのように。

日本国内で承認されたのは米国に遅れること8年の2005年です。意外なほど最近で、流通しだしたのが2006年からなのでこの年あたりから日本でAGAという言葉が聞かれるようになり、今ではほとんどの人が知る言葉となりました。 わずか15年ほど前の話しです。 そこから日本国内でAGA治療というか整容医療におけるAGA産業が盛り上がっていくのですが、それから10年後の2015年に大きな変化がおとずれます。

デュタステリド(商品名ザガーロ)の承認です。

デュタステリドの登場

デュタステリドは実は2009年にはすでに前立腺肥大の治療薬として日本で承認されており(米国:2001年 )、その際の商品名はアボルブという名前でした。

これが6年経って臨床治験を経てAGA治療薬として使用しても良いという承認を得たのが2015年です。この時の薬品名がザガーロです。

フィナステリド同様、前立腺肥大症治療薬として開発された薬であり、かつ、フィナステリドの実質上位互換なので当然フィナステリドと同じく、あるいはそれ以上にAGA治療薬として使えるであろうことは容易に想像出来ます。

こうしてフィナステリド(プロペシア)と同じ道を辿り、デュタステリドも前立腺肥大症治療薬(アボルブ)からAGA治療薬(ザガーロ)として使用してもOKの承認を得たのです。

つまり、

     アボルブ = ザガーロ = デュタステリド 

 です。

ちなみに、意外なことにAGA治療薬としての承認を得ている国は日本と韓国だけだそうです。 この話、私もウィキペディアで初めて知りました。

さらにこの2015年にはもう一つAGA治療薬にとって大きな出来事がありました。

ジェネリック薬の登場

先行していたフィナステリド(プロペシア)の特許切れによりジェネリック医薬品の販売が可能になり、価格が大幅に下がりました。※

※ただし、フィナステリド(プロペシア)はもとが過剰に高額だったので、ジェネリック薬もそれなりに高いです。(何故もとが過剰に高いのかは後述します)

デュタステリドの販売(AGA治療薬としての承認)と先行薬であるフィナステリドのジェネリック薬の解禁が重なった2015年は良くも悪くもAGA薬ビジネス元年といえる年でしょう。

次なる大きな変化はごく最近の2020年です。2015年にAGA治療薬として承認されたザガーロですが、わずか5年でジェネリック解禁となりました。これは、同じ薬であるアボルブの前立腺肥大症治療薬としての承認が2009年でそれから10年あまり経過していることが理由でしょう。

2020年にサワイを始めとしたジェネリックメーカーから相次いでジェネリック商品が発売されました。本当にごく最近の出来事です。

ここで少しややこしいのですが、デュタステリドを主成分とする薬には2種類の名前があったことを思い出してください。

アボルブ(商品名)= 前立腺肥大症治療薬 主成分デュタステリド

ザガーロ(商品名)= AGA治療薬     主成分デュタステリド

この2つの薬剤は中身は100%同じものなのですが、使用法が違うので、薬の世界ではあくまでも別物として扱われます。

2020年にジェネリックが販売可能となりましたが、先に6月頃にアボルブのジェネリックが発売され、約半年後の11月前後あたりからザガーロのジェネリックが発売された。という流れになっています。まあ、中身は一緒なんですが。

抗AGA薬の効果

ターゲットは男性ホルモン?

男性ホルモンであるテストステロンは男性の体にとって必要不可欠のものであり、健康の維持、筋力増強、抗鬱作用などを示し多くのプラス面をもちます。基本的には+しかないくらいです。

一方、前立腺肥大症、前立腺癌がある場合には増悪因子(より進行させてしまう事)として働くことが知られており、他にも、ニキビや薄毛を引き起こす原因になることも知られていました

男性の場合精巣でテストステロンが作られ全身に運ばれます。これが多くの場合は先程書いたように良い作用が多いのですが、薄毛に関してはマイナスに働いているようです。あとニキビなんかもそうです。

男性ホルモン作用を弱めることができれば薄毛の進行を抑制、場合によっては発毛にも繋がるので、極端な話去勢してしまえば大きな効果が期待されますが、そこまでして何とかしたい人というのはいないでしょう。 よって

大元の男性ホルモン産生器官である精巣を残しながら、その影響を最小限にする方法として抗アンドロゲン(テストステロンを含めた男性ホルモンの総称)作用を持つ薬剤を使うというのが一般的で、これがAGA薬として使用されているフィナステリドやデュタステリドです。

フィナステリドにしろデュタステリドにしろ前立腺肥大症に対する治療薬ですが、それはイコール抗アンドロゲン薬という事で、これが結果としてAGAにも効いたので現在ではAGA治療薬としても使用しているわけです。

フィナステリドやデュタステリドの作用

フィナステリドやデュタステリドが抗アンドロゲン作用をどのように発揮するのかですが、実は両者とも基本的な作用部位は同じです。両者とも、

テストステロン →5α還元酵素→ DHT※
 ※ジヒドロテストステロンの略

この部分を邪魔してDHTが作られないように働きます。一般的にAGA関係で説明されているように、テストステロンが頭皮や皮膚、肝臓などの細胞に取り込まれた後、5α還元酵素の働きでDHTに変換され、これが作用することで、前立腺増殖促進、毛髪の毛周期の阻害、皮脂腺の分泌亢進などの機能を発揮するので、ここを邪魔(阻害)すれば、前立腺も肥大しないし、薄毛もとめることができるというわけです。

テストステロンそのものではなく、代謝物であるDHTが作用して薄毛になる。

この5α還元酵素には1型と2型があり、フィナステリドはそのうちの2型のみをブロックしますが、デュタステリドは両方ともブロックします。余談ですがデュタステリドの名前のデュは2つという意味から来ているのかと思います。

そういった理由から、デュタステリドをフィナステリドの上位互換と表現する意味わかるかと思います。どちらか片方しかブロック出来ないものと両経路をブロックできるもののどちらを使用するべきかは明らかです。 

実際、日本国内においてはフィナステリド(プロペシア)は前立腺肥大症治療薬としては承認されておらず、デュタステリド(アボルブ)のみが唯一の5α還元酵素阻害薬=前立腺肥大症治療薬として承認されています。

フィナステリドは1経路しかブロックしないので前立腺肥大症治療薬としてはあまり優秀ではなかったようです。ただ、なんだか薄毛に効くようだ、アメリカや諸外国ではAGA治療薬として使っているようだ、日本でも使えるようにしてほしいという声に答える形で? AGA治療薬としてのみ 承認しました。

薬の種類の話

保険薬と非保険薬

医療機関でしか処方出来ない薬の中にも2種類のものが存在します。

保険薬と非保険薬です。保険薬とは名前の通り、保険診療(保険証を提示する。一般的な医療機関は全てこれ)の範囲内で処方することが出来る薬です。

この保険薬は実は国が全ての薬剤に対して価格を決めています。薬価という言葉を聞いたことはないでしょうか。

薬価=医療機関の仕入れ値=売値(患者は3割負担)です。 保険薬

では、非保険薬とは何でしょう? ドラッグストアで売っているような薬とは違い、これもあくまでも医療機関でしか扱えません。ただし保険診療では処方を認められていない、出すことが出来ない薬で、全額自費負担ということになります。フィナステリド(プロペシア)がこれです。

フィナステリドはAGA治療薬としてのみ認められており、AGAは病気扱いではないので保険診療を行えません。そういった理由から、

医療機関でしか扱えない薬だが全額自費負担で買ってもらう薬となります。 非保険薬

非保険薬には国(厚生労働省)が定める薬価がありません。医療保険で扱う薬ではないので勝手にせいということです。 従って通常の世の中の商品同様、メーカーが、売れそうな値段、儲かりそうな値段を考えてつけることになります。

先程、プロペシアは元々の値段が過剰に高かったと書きましたが、その理由はこれです。保険薬でなく、需要がある薬、当然それなりに高く売れそうなので高値をつけます。

一方、デュタステリドは日本国内では最初から前立腺肥大症治療の「保険薬」として2009年に承認されました。その時の商品がはアボルブです。つまり国の決める薬価があるわけです。0.5mg1カプセル206円くらいだったので、1箱30カプセルで6000円ちょっとだったと記憶しています。

ちなみにですがフィナステリドは我が国では前立腺肥大症治療(保険)薬としては認められず、デュタステリドは認められたのは単純に性能の差だと考えています。発売元のGSKが唯一の5α還元酵素阻害薬と胸を張るのもわかります。

2つのデュタステリド

ここでまた少しややこしくなるのですが、前立腺肥大症治療の保険薬として承認されたデュタステリド(アボルブ)は当然というか、案の定、続いて2015年にAGA治療薬としても承認されました。ただし、先程来書いているようにAGAは病気ではないのでこの場合は保険診療では使えません。

こういった場合中身は全く同じでも、パッケージ、名前全て新しい形で承認を取ります。

AGA治療薬としてのデュタステリドは商品名を「ザガーロ」という名前で発売されました。もちろんメーカーも同じGSK:グラクソスミスクライン社です。

このザガーロですがもちろん医療機関しか仕入れることは出来ません。いくらで販売されたと思いますか?

先程書いたように、アボルブが1箱6000円ちょっとに対して全く同じ中身のザガーロは12000〜18000円くらい(薬価がないので条件で変わる)していたと記憶しています。

私は当時AGA治療薬としてではなく別の目的でアボルブを使う必要がありましたが、これがフィナステリド(プロペシア)の上位互換であることは当然知っていたので、「ああ、やっぱりAGA治療薬としても承認されたかあ」と思いましたが同じ商材(デュタステリド)に対しての価格の差に驚きました。
「こんなん誰が買うの?」を思いましたが結構売れていてまたまた驚きましたね。

フィナステリドもデュタステリドも薬として作用する部分は全く同じで、どちらもその作用から5α還元酵素阻害薬と表現されます。これは5α還元酵素という酵素の働きを邪魔(阻害)する薬という意味です。

デュタステリドの作用機序

繰り返しになりますが、5α還元酵素とはなにかというと、主要な男性ホルモンであるテストステロンに作用して(5α位を還元して)ほんの少しだけ構造を変えてしまう酵素です。この酵素の働きによって

テストステロン →(5α還元酵素)→(5α)ジヒドロテストステロン(DHT)

テストステロンがDHTに変化します。 このDHTこそが薄毛、AGAを引き起こす大本になっていると考えられています。

フィナステリドもデュタステリドもこの働きを阻害してDHTが作られないようにするお薬ですが、フィナステリドは5α還元酵素Ⅱ型のみを、デュタステリドは5α還元酵素Ⅰ型、Ⅱ型の両経路をブロックします。

以前はAGAにはⅡ型のみが関係するような話が主流でしたが現在では両方とも関係するという考えに変化しているようです。Ⅱ型が主に前頭部、前立腺などに分布しているのに対して、Ⅰ型は全身の皮膚に広く分布しています。

図は前立腺肥大症を例にした場合ですがデュタステリドの作用イメージ。

ダブルブロックである点を強調している。gskのメーカーページより引用

[塚本 泰司 ほか:泌尿紀要 55 : 209-214, 2009]

AGAになる人とならない人の大きな差は、毛髪の毛乳頭部にどの程度アンドロゲン受容体が存在するか、また、アンドロゲン受容体との結合のしやすさの違いやそもそも5αリダクターゼをどの程度(量)作るかという部分に依存しているといえるでしょう。これは残念ながら遺伝的に決定されます。

このDHTは皮脂腺にも存在し、この部位でDHTが活動すると皮脂の合成を促進し、ニキビの原因となります。その場合は5α還元酵素Ⅰ型が主に問題となります。

AGAやニキビの原因になるようなこんなものはいらないんじゃないかと思いますが、主として男性器の形成に強く関係しているため、男性であればみなDHTにお世話になって男性になったわけです。しかし、青年期以降はあまり必要がない気もしますが、まだ未知のなんらかの機能を担っているのかもしれません。

デュタステリドの副作用

デュタステリドの服用により、

血中のDHT濃度は90%も低下するとされています。

本来なら存在していたものが90%も減ってしまってもAGAの進行が止まったり、前立腺を縮小してくれたりする以外に大きな副作用があまり無いとなると、ほんとにDHTは必要なものなのか? と考えてしまいますね。

あまり目立った率ではないとはいえ、薬である以上やはり一定数の副作用を示す方もいます。その場合に起こりうる副作用としては

肝機能障害、全身倦怠感などの不定愁訴、性欲の減退・精子量減少などの性機能低下、女性化乳房などが報告されています。

この内肝機能障害や全身倦怠感などの副作用はほぼ全ての薬に共通してあらわれうるもので、発生頻度から考えても特に大きな問題ではありません。薬の分解を肝臓が行うわけですから大酒飲みであったり、その他の要因でそもそも肝臓が元気な状態でない人ならどんな薬を使用してもおこりますし、デュタステリドの場合もその程度の発生頻度です。

一方、性機能低下症は、一般的な抗生剤や胃腸薬、鎮痛剤では起こり得ない話で、デュタステリドに特異的な副作用といえるでしょう。

性機能低下症として、精子数の減少やリビドーの低下(性欲の低下)、勃起不全などが

最大1割程度の人に現れるとの報告がされています。

デュタステリドとテストステロン

先程かいたように、デュタステリド使用で、テストステロン→DHT が阻害されることにより最大90%あまりも血中DHT濃度が低下します。

つまり本来DHTに変換されるはずだったテストステロンがテストステロンとして残り続けるので血中テストステロン値はむしろ上昇します。

この事実からも血中テストステロン値と薄毛には直接関係がなくあくまでもDHTが影響を及ぼすのだということがわかります。

デュタステリドの副作用としておこる各種の性機能低下症は血中テストステロン値上昇によってバイオフィードバックがかかり、結果として性腺機能の低下を引き起こすと考えられます。

その他のAGA薬

フィナステリドとデュタステリドについて書いてきましたが、他のAGA薬とされているものについて考えてみます。

これに関しては現在すでに明確な答えが出ています。重要な資料なのでサイドバーにもリンクを貼っていますが改めてここにも貼っておきます。

今後新しいものが出てくる可能性はありますが、現状においては結局の所、

重要

フィナステリド内服
デュタステリド内服
ミノキシジル外用(塗薬として使用)

以上の3法のみがA、効果を認められ強く推奨される 治療法となります。

これ以外の何かを利用している方は注意が必要です。 

特に昨今の再生医療への注目にかこつけて頭皮に成長因子を打つといった治療? などよくわからないものに大金を投じ無いようご注意ください。

また、最大の問題はミノキシジル内服をかなり多くの医療機関で行っていることです。

日皮会誌:127(13),2763-2777,2017(平成 29)

ミノキシジルは降圧剤として開発されたが本邦では認可されていない.また,男性型脱毛症に対する治療薬としても認可されている国はない.それにもかかわらず,全身の多毛症を起こす副作用があることを根拠に,医師が安易に処方したり,一般人が個人輸入で入手し服用することがあるので,医薬品医療機器等法の観点から問題視されている.
 多毛症以外のミノキシジル内服薬の副作用の報告は少なく,内服用製剤の添付文書中の市販後調査欄に,胸痛,心拍数増加,動悸,息切れ,呼吸困難,うっ血性心不全,むくみや体重増加などの重大な心血管系障害が生じるとの記載がある

 ミノキシジル外用に関しては効果があることが確実視されており、我が国においては5%濃度までで一般に入手することが出来る商品がたくさんあります。

そういった商品の中から、かぶれなどの出ない自分に合うものを選んでいただいて使用することで十分です。 

内服は心血管系に強い負荷をかけるだけで、発毛に関わる効果とそのデメリットを考えると全く使用するに値しないものです。さらにこういった未承認薬を医療機関が並行輸入して販売していることは大きな問題です。

重要

タブレットM とか タブレットF とかもはやなんという薬かもわからない状態で、医療機関が並行輸入したものをさらにパッケージを変えてまで販売するなど異常事態です。

ここまで長々と書いてきましたが、 結局の所現状ではAGAに対する治療薬としてはフィナステリドとデュタステリドしかないという事実をしっかりと認識していただきたいと思います。

さらにフィナステリドは保険薬としては認められなかった薬ですのでもともと薬価がありません。そのためバイアグラのように高価な価格で販売され、ジェネリック薬の価格も高いです。

一方、上位互換であるデュタステリドは前立腺肥大症に対する保険薬として承認され薬価を持つため、ジェネリック薬の登場により一気に価格が下がりフィナステリドジェネリック薬よりはるかに安いという逆転現象が起きています。 それを考えるとあえて古い方でありかつ機能的にも劣るものを高い価格で買う意味はないと考えます。

結論

・AGA治療はフィナステリド・デュタステリド・ミノキシジル外用のみ

・デュタステリドはフィナステリドの上位互換にもかかわらず価格は安い

・ミノキシジル内服は危険 効果に関しても明確ではない。

・中身のわからない並行輸入品を販売する医療機関?に注意

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